蛋白質物性学研究所 / Institute for Protein Physics

基盤的手法


(C.1)物理的摂動法


(C.2)Double Deconvolution法


(C.3)平衡論的・速度論的モデルを用いた解析法



(C.1) 物理的摂動法

 蛋白質物性の向上のための分子設計法(1998年公表)です。注目する蛋白質物性に影響があると推測される物理的環境(静電ポテンシャル、揺らぎなど)に影響を与えているアミノ酸を、立体構造に基づいて決定し、このアミノ酸を置換することで物理的環境を変化させ、目的の蛋白質物性に変化を与えるという方法です。立体構造が既知(あるいは推定可能)な蛋白質に適用可能です。この方法を用いて、金属プロテアーゼ・サーモライシンの触媒活性を顕著に改善することに成功しました。「生体ナノマシンの分子設計」(2001年、共立出版)の「1-2 物理的摂動法による高機能化」に詳細がありますのでご参照下さい。

(C.2) Double Deconvolution法

 蛋白質の熱転移が可逆的であれば、それに伴う熱容量変化(温度依存性)からモデルを仮定することなく、エンタルピー変化やギブズエネルギー変化が評価できます。これに基づいて、単分子反応の場合(1987年)、解離・会合を含む場合(1988年)について解析法を発表しました。熱転移に伴う熱量量変化をDSC(示差走査熱量測定)で評価すれば、Windowsのソフト(DDCL3、無償配布)で本方法により熱力学量の変化が評価できます。利用をご希望の方はお気軽にinfo@proteinphy.orgまでお問い合わせ下さい。

(C.3) 平衡論的・速度論的モデルを用いた解析法

 熱量測定であっても、温度以外(pHや塩濃度、圧力など)によるものや、不可逆な変化については、適切なモデルを仮定してデータ解析を行います。この場合でも、熱量測定の利点を最大限利用することで、正確な評価が可能となります。モデルを用いた解析では、多くの場合、非線形最小二乗法を用いることになります。モデルの選択などについて、「熱量測定・熱分析ハンドブック第3版」(2020年、丸善出版)の「3.3 バイオカロリメトリーにおけるデータ解析」に詳細がありますのでご参照下さい。